西日本を本拠とするNEC子会社のNECシステムテクノロジーは7月27日、広域の森林資源量と伐採木材量を容易に推定できる森林価値の「見える化」技術を開発したと発表しました。
農林水産省からの受託研究プロジェクトの一環で、三重大学大学院生物資源研究科と共同で研究開発を進めました。
今後、実用化に向けて森林組合・山林所有者などのパートナーを募ります。
新技術では、まず「森林高」と「地盤高」のデータを算出します。
従来から測量用途などのために撮影している大量の航空写真データを基に、コンピュータ上で「ステレオ処理」を実行します。
ステレオ処理とは、同じ場所を撮影したRGBカラー写真と赤外線写真の全画素を解析して2次元写真を3次元化し、森林の高さと地面の高さを算出する手法です。
森林高と地盤高の差分から、木の高さ(平均樹高)が分かります。
次に、データをGIS(地理情報システム)の電子地図上にマッピングし、森林所有者・森林管理者などの情報を付加します。
これによって算出した立木密度(単位面積当たりの木の本数)を基に、伐採した場合の木材量や端材量を推定します。
市場価格データを入力すると、売却した場合の「見込み売上高」も試算できます。
従来は森林の現況を把握するためには、人手による実地調査や、写真判読などの作業が必要でした。
特に広域での把握には人手と時間がかかっていましたが、新技術によってこの負荷を軽減できます。
容易に森林価値を把握できるようになれば、所有者が細分化され手入れが行き届かなくなった山林の売買・集約が進み、一体管理によって林業の効率化を進められる可能性があります。
日本は国土の7割を森林が占める世界有数の森林資源国です。
しかし近年は、森林の手入れや伐採などを担う林業従事者の高齢化や、輸入木材の普及などによる価格低下など様々な要因のために、国内林業の衰退が進んでいます。
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